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そう言いながら思い返す。
俺はちゃんと言われた通りに魔族を倒して、拐われた女を助け出したが。
「そうだ。お前はしっかり任務をこなした」
「当たり前だろ。それが仕事なんだから」
しかしザルサスの表情は険しいままだ。
「うむ。その通りだ。しかし、お前はバカみたいに力を使って森を焼き払い、あまつさえ囚われていた女性に向かってなんと言った?」
森を焼き払ったつもりはないが、女に言った言葉なら憶えてる。
「ブス」
途端に会議室中が、やれやれみたいな空気となる。
「それだ」
「は?ブスにブスって言って何が悪い?」
「お前はもう少し、人間として成長する必要がある、と上からお達しがあった。というのもだな、お前が心ない暴言を吐きまくった女性が、魔術師協会にクレームを入れてきてな」
ブスにブスと言ってクレームなど、しょうもねぇ。
「その女性の身内に、政府のお偉い人がいて、その方が魔術師協会を訴えると言い出した」
それはそれは、大変だな協会も。
「なんとか示談に持ち込んだが、お前が焼き払った森の賠償金やらなんやらが嵩張ってな……」
それに、とザルサスは続ける。
「お前が任務に行くたびにクレームが来るんだ。村を全壊したとか、湖を干からびさせたとか。あと口が悪いとか態度が悪いとか遅刻が多いとかダラシがないとか」
後半はクレーム関係ない気もするが。ようするに、俺の席がないのは……
「もうわしらでは庇いきれんくてな、悪いがレオよ…………魔術師協会クビ」
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