第12話 模擬戦

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「〈体動せよ:土流〉」  2組の誰かが五級魔術で広場の土を抉った。大した変化は無いが、広場の地面が凹凸する。 「ハッ!なんだよそれ!?」 「そんなヘボい〈土流〉でなにができるんだよ?」  1組の面々がバカにしたように笑う。 「お前ら1組は協調性ってしらねぇの?」  2組が嘲笑うように言って、さらなる魔術を発動する。それはキルシュが先導する形で起きた。 「〈鎮る水面、清流の流れ、洗い清めよ:水波〉」  何人かで補強し合うようにして放たれる水の流れ。  それは地面に出来た凹凸を流れ、あっという間に渦を作る。流れはさらに土を掘り、渦は瞬く間に幾つかの水柱を作った。本来波を生むだけの〈水波〉で形を作り、尚且つ複数人で魔力供給することで維持している。 「マジかよ……」  ユイトがその水の柱を眺めて呟く。  2組は個々の技量では他クラスに勝てないと踏んで、集団戦闘の理を取ることにしたようだった。 「そんなもんで俺たちを止められるか!!」  と、勢い勇んで1組の面々が走り出す。それを見越したように、うねりをあげて暴れ回る水柱に、翻弄される1組諸君。  ユイトが咄嗟に放った火炎弾が、水柱にあたってジュッと音を立てて消えた。  他のクラスメイトの放つ魔術のことごとくが、同じような目に合っている。五級や四級の四元素の魔術では、結託して魔力を込める2組の水柱には敵わない。 「うわぁ……めっちゃおもろいんだが」  俺の素直な感想に、イリーナがキレた。 「笑ってる場合じゃないでしょ!!」  そう言うと、イリーナは俺の背中を思いっきり蹴飛ばした。 「おえっ?あっ、ちょ!?」  体勢を崩し、つんのめる俺の前に一本の水柱が迫る。円環の下に存在する水柱が、抉れた広場の地面をけっこう高速で移動してくる。 「〈数多の呪、想像の術、塵と成りて消滅せよ:解術〉!!」
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