まもりたい

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まもりたい

「もうっ──もうっよせ」 「悪かった。おかげで元気が出たよ」  トカプチのツンと立ち上がった乳首を……最後にもう一度だけ舌と唇でギュッと絞るように扱くと、トカプチは身を折って呻いた。 「うっ……う、感じるっ」  最後の一滴まで搾り取ってからトカプチを見上げると、頬を赤く染めて壮絶に色っぽい姿になっていた。  平らで白い胸元が露わになり、少し汗ばんで……しっとりと真珠のように輝いていた。いつかトカプチの真珠を贈ってやろう。あれは西の海に行けば取れると聞いた。  奪うだけの人生が、与えたい人生へと変わっている。  トカプチは自分で上衣の袷を元に戻し整え出したが、まだ頬は紅潮し吐く息も甘い。 「ふぅ……」 「おいっ……そんな顔で戻って大丈夫か」 「もうっロウは吸い過ぎだ」 「いやか」  ふるふると首を横に振る。 「……気持ちよかった」 「グスっ、グスッ──」  ノンノが乳の匂いに反応し泣き出したので、トカプチが慌てて戻る支度を始めた。ノンノは乳欲しそうに、トカプチの平らな胸を手で探り、歯の生えていない小さな口をパクパクと開けて、顔を擦りつけてきた。 「わっ! ノンノのおっぱいはこれじゃないよ。あぁお腹が空いたんだね。早く母さんの所に戻らないと」 「トカプチ、やはり泊まって来てもいいんだぞ。また明日迎えに来てやるから」 「……いや、帰るよ」 「いいから、お前だって甘えたいはずだ」  トカプチは少し迷った様子だった。 「ロウ……お前も来てくれよ。お前が近くにいないのは寂しいんだよ」 「オレはいい」 「なら……俺も帰る! 今度改めて3人で泊まろう! とりあえず手っ取り早く習ってくるから待っていろよ」  トカプチの方から、唇を軽く合わせてくれた。  こういう時のトカプチは活発で男らしいと思う。さっきまで乳を吸われ感じていた顔とは別人のように煌めいていた。  お前の未来……守りたい。  お前の笑顔……ずっと守りたい。  一旦家に戻っていくトカプチを見送って、オレは意気地なしだと反省した。  泊まってやれば喜ぶのは分かっているのに、それをしてやれないなんて。  トカプチを守る伴侶としての資格がない。  オレははアルファだ。生まれながらにリーダー的ボス的気質を持っているはずなのに、何故こんなにトカプチの事に関しては一喜一憂し、苦悩するのか。  もっと自分に自信が欲しい。  どこの誰とも分からないあやふやな出自。いまだこの躰の半分を占める獣の血が……オレの判断を鈍らす。  再びマントを目深く被り、樹によじ登ろうとした時、突然背後から声を掛けられた。 「おい! あんた誰だ? 」  振り向けば、勇ましい男が立っていた。
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