マリーゴールド

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マリーゴールド

「私、彼と結婚することになりました! 藤原さんが前にアドバイスをくれたあとすぐに、彼からプロポーズされたんです」 彼女はとても幸せそうだ。 だが、お花屋さんの藤原さんの顔は曇っている。 「あの、どうかしましたか?」 「あっ…、いえ。あの、ひとつ聞いてもいいですか? あなたの彼、最近あなたと過ごす時間、作ってくれてますか? 結婚前は何かと忙しくする男性が多いと聞きますし…」 「あ…、うん、確かに最近は夜帰ってくるのがプロポーズされる前よりも遅くなりました。でも、それ以外は特にないです!ちゃんと一緒に寝たりしてますし」 藤原さんはそれを聞いてからさらに顔を曇らせる。 「あ、あの、お花持ってきますね…」 お花屋さんは店の奥に行き、5分ほどしたくらいで戻ってきた。 「このお花はマリーゴールドです」 今のあなたにはこれかなって思いまして。 勘違いだったらすみません。 そして、おめでとうございます。 藤原さんはそう言って彼女を見送った。 マリーゴールドを持った彼女のその後。  「藤原さん、私の好きな花をくれたけど、マリーゴールドの花言葉ってなんだっけ」 とりあえず彼女は調べてみるとそこには・・・と書いてあった。 「まあ、とりあえず早く帰って優希くんに見せよっと!」 「ただいまー!ねえ、見…」 家に帰り、ドアを開けると、家中に響く女の官能的な声。 そこに居たのは彼女の知らない女と、彼女の知らない表情を見せる優希の姿があった。 「あのな!これは誤解!これは事故で」 彼は私に向かって何かを言っていたが、私には何も聞こえなかった。 あー、藤原さんが私にこの花をくれたのはきっと、私に質問をした時彼が浮気してないか判断したんだ。 流石だなぁ、マリーゴールドってところもピッタリ。 今の私にピッタリだよ。 絶望って花言葉は…。
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