07.スカーレット

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07.スカーレット

「ねぇ、君聞こえる?」 リュックの方から声がして、ぼくは声も出ない程驚いた。 「藤色の花のブローチ」 ぼくは恐る恐るリュックに近づいた。 声はデュランタから発信されていた。 「この花にイヤホンを接続。急いで」 「は、はい」 「今から助けに行くから、部屋番分かるかな?」 「多分、1818です」 「OK。何かあればこれで通信するから。その部屋は覗かれてるけど、気づいてないふりして」 ぼくは頷き、Bluetoothでイヤホンを接続した。 覗かれてるって何? でも、この玄関の異様さと、スカウトマンの言葉を想い出し、納得した。 きっと、この部屋には隠し撮りカメラがたくさん仕掛けられている。 姉はここにまだいるのかも知れない。
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