07.スカーレット

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「ギリだったわ」 少女の部屋のモニターが、室内を映し始めた。 切り替わる前の映像で、500万円の落札があり、配信購入者が95名も居たと分かった。 しめて785万円の売上だ。しかも、ほぼ利益。 購入者は、今か今かとライブ配信に釘付けなのだろう。 「俺も行っていいかな?」 「足手まとい」 「分かってるけど、あの子は俺のせいで怖い目に遭うんだろ?」 「もう泣きそうじゃん。泣き虫レイン。勝手にすれば」 「俺はレンだってば」 マンションまでタクシーで10分。 落札者がどの位で到着するのかは分からないが、30分以内だろう。 部屋番号はおさえたし、侵入できれば、間に合うはず。 カフェの外には、リリィが手配したタクシーが2台停まっていた。 フリージアだけはカフェに残り、モニタリングと指示出しを行う。 俺達は、彼女に渡されたデバイスで常に遣り取りが可能だ。 ヘッドセットの向こうで、フリージアが少女に優しく語りかけた。 「大丈夫。今助けに行くわ」 「あの……あなたは一体?」 「詳しくは後で。心配しないで。デュランタの花言葉、知ってる?」 「いえ」 「あなたを見守る、よ」 0340953d-12bc-42b7-ad61-0b68b627ffc5
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