0人が本棚に入れています
本棚に追加
船内へ
チェックを受けて船内に入った薫
彼はどんなことがあっても愛用のフラッシュライトは隠し持っている 別に誰に盗られるって訳でもないが、用心深さからかフラッシュライトと撮ったフィルムの1つはチェックすらさせないようにしているのだ
薫「民族ジャーナリストをなめるな」
荷物チェックを通った彼はつぶやく
そのつぶやきは
絶対に見つからない と言う彼の自信から来ていた
山下「おー! 薫さん!」
薫「これはこれは」
山下「久しぶりですねぇ!たしか ハーフの方でしたね?」
薫「アハハ そうです 日本とデンマークの」
船に乗っているジャーナリスト10人のうちの一人
山下が声をかけて来た
偶然であった この山下は薫とは以前に一緒にトーク番組へ出演依頼が来た時に一緒だったジャーナリストである
話をしながら喫煙室へと向かい トーク番組でのコメディアンの事や音響機器メーカーの事などいろいろと話していた
気が付けばタバコを2本吸っていた
薫「それでは私は部屋を見て来ます」
山下「あーはいはい それではまた」
薫は2階の部屋へと向かった 階段を上ると部屋はまっすぐ奥だった
薫はふと思った
「さっきからすれ違った人間は3人だ・・・ こんな大きな船で人が人がそんなに少ないのか?」と
確かにホテルなんかでも あまり人とすれ違う事は無い そんなものなんだろうと
自分を納得させた
彼は自分の部屋を見つけ 部屋の中でインタビューの準備を整えている
薫「!? なに!?携帯の電波が届いていない!」
この船内への不安がよぎる
薫(・・・この船はいったい)
他の人間もそうなのか一応は調べてみようと部屋を出ようとしたが扉が開かない
薫「!?」
「ガシャッ!ガシャッ!」
どうやっても扉が開かない 閉じ込められてた!
彼はそう悟ると 携帯がつながらないのはすぐに理解出来た
携帯の画面をもう一度開いてSNSにはつながらない
薫(まずは落ち着こう・・・)
ソファーに腰をかけ 持っていたペットボトルを口にした
窓の方を見たが窓の外は鉄格子で人が通れる隙間は無い
ー30分後ー
しばらく色々と考え 煙草を吸ったり水を飲んだりしていると
放送が流れた
船内放送「ようこそ私の船へ 10人そろっているな」
薫「誰だ!」
船内放送「まず最初に 君たち10人以外に乗客はいない 君たち10人のためだけに用意してやったんだ フフフ・・・
それから この船はあと30分後に出航する
私からのタレコミで集まったハゲタカジャーナリスト達だね?
まぁ 結論から言うと 教団は再開する」
薫(まだ 再興していないって事か・・・)
船内放送「再興はこの 私によってだぁ!!ハハハァ~」
薫「なんだと?」
船内放送「冷蔵庫には飲み物が入っている 安心しろ毒など入っていない 簡単にくたばってもらっては楽しくないのでねぇ そのために快適な温度と飲み物だけは用意してやった 優しいだろう?フフフッ」
薫「・・・・・!?」
船内放送「これから君たち10人には死んでもらう だが・・・生き残るためのチャンスを与えよう もし君たちが生き残ってこの事を話したところで 我ら新しき紅華道には関係無いと言い張れるさ 無鉄砲で命知らずなジャーナリストって人種を相手にするんだ 抜かりなく証拠隠滅はするさ」
薫(・・・信者の復讐か? そもそも紅華道を名乗るだけのサイコパスか)
船内放送「さて・・・ 生き残る方法だが
まずは我が指示に従ってもらう そのあとは・・・鬼ごっこだ」
薫(ふざけやがって!)
船内放送「簡単な話だ 我が指示は君たちを生かすための指示だ
さっきも言った通り 君たちには簡単にくたばってもらっては楽しくない なので冷蔵庫の中のドリンクは普通に何も仕込んでない これから飲み物は必要だろう 大きいペットボトルを取れ 」
各部屋のジャーナリスト達は冷蔵庫の中の飲み物を手に取った 飲み物が無くならないよう大きいペットボトルを
カメラで各部屋を視ている謎の人間が薫を視ている
船内放送「おい 201号室の君は欲張りだなぁ! カバンがパンパンになるほど取ったのか ハハハァ!」
船内放送「好きなだけ持ってけ 全部飲み終わるまで生きてられるかなぁ?」
薫は小さいペットボトルを3本取っていたのだ わざわざ何本もペットボトルを取ったように見せかけてカバンに入れていたのだった
薫には何かの意図があった
船内放送「さて!準備は良いか! 」
「バタン!!」
扉が開いた・・・と言うより全開している
船内放送「よし!今から毒ガスが部屋に噴出される! 鬼はこの我々だ!」
部屋のモニターに人が2人映し出された
その顔を見るなり薫は驚きを隠せないでいる
薫「バ!バカな!」
その2人の男はみるみる化け物に変化して行
「プシュー!!!!」
部屋には毒ガスが噴出され 瞬く間に部屋に充満した
薫はカバンからフラッシュライトを取り出した
部屋を出て廊下を走り抜け階段横の壁に隠れ フラッシュライトの光熱を最大にした
「うぁ!うあー!!」
今いる2階の遠くから悲鳴が聞こえる
全力で階段を駆け下り1階へと急ぐ すると1階からも叫び声が聞こえた 戸惑いながらも薫は1階へと突き進み1階のロビーへとたどり着く
すると 毒ガスが漏れてるであろう部屋の向こうに
化け物と化したアイツが立っていた!
化け物は手にジャーナリストの死骸を持っている
薫は部屋に置いてあったタオルを2枚持って来ており 隠れながらカバンから1枚とりだし団子状に結んだ
フラッシュライトの光を最大にしてタオルに照射した
熱光で燃えはじめるタオルを持って壁から顔を出すと
「しめた!」
化け物は向こうに向かおうとしている
かなり向こう側だが 山下が壁から現れた
遠くだが山下だと言いうことは解った
薫「山下さん! イチかバチかだ!」
「ドダダダダッ!」
薫は燃えている団子状に結んだタオルを走りながら放り投げる
放り投げた後 薫は全力でもといた壁の向こうに走って行く
それに気付いた化け物だが、まずは山下を追って行く
壁の向こうにたどり着きロビーから廊下の様子を隠れながらうかがっていると・・・
「ドガガガァーン!!!!」
すさまじい音とともに薫はしゃがみ込む
さっきの火が毒ガスに引火したのだ
薫はふせていたが もう1枚のタオルを口に巻き息を吸い込み走り出す
どす黒い煙を後にして
「ぐあぁー!!!」
上の階からまた叫び声が聞こえた
また一人殺されたのだろう
トイレを見つけた薫は そこに身を潜める事にした
爆音を聞いたもう1人のアイツが来ると解っていたからだ
薫(まてよ! トイレなんて必ず探しに来るはずだ!)
そう考えながらもトイレにたどり着き トイレの前にたどり着いた瞬間・・・
突然 目が眩みだした
目の前が歪んで行く
かすかな意識の中 ブロックが崩れるように目の前の光景が消えて行くのを見た
薫は倒れ込んでいた そして・・・遠くから悲鳴が聞こえた
薫「あれは・・・・・山下さんか?? もう1人の奴は 向こうから来やがったのか・・・」
薫の意識は完全に途絶えた・・・
最初のコメントを投稿しよう!