決戦

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 ここに来て数分。奴をまだ感じてすらいない。 「(何処だ、何処にいる……!)」  俺は何も見えない闇の中で耳を澄ます。出来ることなら、俺の中に芽生えた殺意の波動が消え去らぬうちに決着を付けたい。  奴にやられた身体中の傷が疼く。背中、頬、腕、この眠れない程の傷が俺をここに立たせていた。  息を止め、全身の意識を聴覚に集中させる。  そうして、微かに聞こえて来た奴の動く音。
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