第42話 必要ない人はいない

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 第42話 必要ない人はいない

  風花side (私の存在意味は?)  「私って必要?」  (リョウ.英斗.ゆな)「必要!」  「え? あ!」  「声に出てたよ。必要に決まっているでしょ!」  ゆなちゃんがチョッピリ呆れたように怒ったような声音で言うと  「俺にとっても必要な人だよ」 (神高センパイ…… )  「必要! オイラにとって! 母ちゃんも父ちゃんも同じだよ!」 (神高センパイの必要っていう言葉、後で思い出して嬉しくて……でもその時は……)  「だって、だって……琉さんは。英斗さん!」  「琉さんって?」  「あの……」  「ふうちゃんいいよ。琉は俺の二つしたの弟。神高くん、封建的な大人たちから見てはみだし者の俺と従順な領どちらが必要とされると思う?」  「……従順な琉さん」  「分かった? オイラの父ちゃんの親戚たちはどうしたと思う? 代々医者家系で、父ちゃんが期待から外れた上に、オイラには医者は嫌だって言われたらさ……」  「琉さんに期待する?」  「正解。小さい時からずっと、オイラはコイツはダメだって思われてた。琉は母ちゃんの努力で唯一交流が回復した父ちゃんの親戚から期待してるって言われてきた……」  「英斗さん!」  堪らなくなって叫ぶと、英斗さんは穏やかに微笑みを称えたまま  「10才のふうちゃんに、貴弘さんを見させろ! あり得ない話に、あの親戚同士の揉め事に首を突っ込んで……父ちゃん母ちゃんが怒って……交流をふたたび閉ざしたはずななのに……」  「……ふうちゃん……辛かったね……頑張ったね……」 (神高センパイは凄い人だ。英斗さんは親戚の事言いたく無はずなのに……凄い人。私が言わなくちゃならないのに……)  「神高くん、ありがとう。親戚樣達は隠れて……琉に……」  「琉さんには、ふうちゃんの親戚の……御免なさい悪……口を。ふうちゃんには、貴弘さんに逢いに行かせた?」  「神高くん御免なさい。オイラ……俺が言うべき事言わせて……ふうちゃん!」  「はい……」  「ふうちゃんは何も言う必要無い人だよ。親戚の下らない揉め事、面子に巻き込まれた被害者なんだから。謝らないの! 分かった?」  "……っうあーん"  涙止まらないの。今まで 『貴女は何度悪くない』って言われてもそう思わないようにして  なのに、私悪くないのにって……心の中で思ってて……  表でね  頑張ってるね  言うけどさ  裏で無自覚  思って無いよねって  私……  でも悪くないんだ……
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