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第76話 何もしてあげなかった
リョウside
「その新エースの神林? 顧問の方に、自分を戻してくれ! って言った。ゆなちゃんが、野球部に入った時点では、そいつはマネージャーだった。顧問は神林に、ゆなちゃんに引き継ぎを…… 教える様言ったけど」
「私から見たら凄いレベルで。ゆなちゃんの不安は、スコアブックの付け方やルールより、マネージャーとしての……」
「スケジュール管理。遠征先とかの決め方。連絡方法。今までどこの学校と対戦して来たか? とかの分野が不安?」
「リョウセンパイ凄い…… ゆなちゃんからやっと…… 聞き出して……『俺に聞くな! 考えろ』って言われたって木曜日に……」
「……坂戸さんも言ってたな。顧問、たまにしか来なくて。事実上、自分がピッチャーで、神林は、名前だけ立派にエース。なのに…… 練習さえ出てこなくて。顧問も、練習は源本センセにさせて試合の時だけ、二人しゃしゃり出てきて。勝手に自分達で、相手側に連絡取るし。文句あるなら辞めろとか…… さ」
南田センセは一人で
生徒会も…… 野球部も……
『お前達に任す!』
昨年は教師一年目じゃ……
逃げてたのとは違う
出来る範囲内で…… ガンバってくれて
-トウルルル-
「~ゆなちゃん? 落ち着いて? 坂戸センパイがそんな事思うわけないよ?」
(何話ているの……?)
-トウルルル-
ん? 坂戸さん?
「坂戸さん? ふうちゃんもさ。今聞いたよ…… 俺さ、少し話し聞いてたのに。何もしてあげなかったゴメン…… ゆなちゃん、どんな様子なの? ふうちゃんと一緒だ。不安で話したはいけど…… 言ってしまった事で、もっと事態が悪化したら…… って。そういう子達だよね? ふうちゃんもゆなちゃんも……」
二人が、どんな思いでいたか……
「分かった! 俺達も行くから!」
先に
話が終わったらしいふうちゃん……
心配そうに
携帯電話を、胸の前でキュって握り締めて……
大丈夫だよ。という様に頷いて
「行こう?」
って言うと
不安顔のふうちゃん……
(可愛いな……)
こんな時まで……
俺はバカだ……
ゴメンねふうちゃん……
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