第11話 花冷えの季節 恋人達編5

1/1
前へ
/822ページ
次へ

第11話 花冷えの季節 恋人達編5

 「百田(ももた)さん、俺の担当する由利河(ゆりか)さんが『風ちゃんに嫌われたから仕事しねぇよ』って訳分かんない事言ってんスけど……」  「リョウも、同じ事を…… 梅川(うめかわ)くん、 言ったでしょ? 由利河兄弟の世界は、風さん中心に世界が回ってるって」  確かに聞いたけど……  由利河瑛斗(ゆりか.えいと)さん、画家として大成した人…… ホントはルールや、しがらみの中で作品を作るより、自由にモノ作りをしたい人。  由利河涼那(ゆりか.りょうな)さん、演出家、脚本家として才能があるのに、やはり少数精鋭のこだわった作品しか世の中に送り出していない。  その理由は、由利河風(ゆりかふう)さん。  「風ちゃんが、世間の人に…… なんてあり得ないでしょ?」  「風ちゃんを守るのは、オイラ達の使命なの!」  同じく作詞作曲家として才能のある風さん。けど、その素顔を公表していない幻の天才。  つまり、己の才能より風さんを、世間から守る事に命を燃やしている人達。  「もったいないですよね? せっかくの才能……」  「まあね。けど、始まりがちょっと強引だったらしくて、翌日からしばらく口聞いてくんなかった…… って言ってたから…… ね?」  「詳しいスね?」  「何? 妬いてんの?」 「は? 何言ってんスか? 妬いてねぇし!」  「俺は妬いてるよ? それに聞きたくなくても、俺の幼馴染みのリョウが、ペラペラと教えてくれるんだよ…… そんな事より、俺は(りん)と……」  俺に、kissしてきた心都(みさと)さん……  仕事の関係で、由利河家に出入りする中、知り合った人……  「これから宜しくね。倫」  類友…… 自身も強引な心都さん……けど…… その強引さが嬉しかったんだ……  「あっ……」  「可愛いな…… 倫……」  その蕾に自身を宛がって俺は、腰を進めた……  「あっ…… あぁん」  「気持ちいい? 倫……」  ストイックでちょっと真面目な倫を…… 乱れさせてみたい……  花には刺がある  それでも  甘い密に魅せられていくんだ……
/822ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加