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第1話 花冷えの季節1
涼那side
4月
あーぁ、サクラも終わるなー。
「ねぇ、リョウ、春ってさぁ、ナンで物悲しい感じがするんだろうね?」
風ちゃん……
ベランダに出る窓の前に立って、庭の桜を眺めている風ちゃん……
「現実的な事で言ったら、スタート(新学期.転勤.転校)…… 花粉症…… 夢の世界の表現だと…… 花冷えの季節…… だから?」
皆が皆、浮き足だってる感じがするじゃん?
ゆっくりと振り向いた風ちゃん…… 儚い笑みを浮かべて。
まあるくて大きな、綺麗な瞳には涙……
「風ちゃん…… 俺が居る。瑛斗にぃみたいに『少し、外の世界を見てくる』なんて言わないから……」
「うん…… 」
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