No.2

12/29
前へ
/29ページ
次へ
「……うん」 「離れても、また会えるから」 「うわーん。綾子ぉ」 「よしよし」  こんな風に美咲が甘えるのは、あたしだからだよ。  ほかの誰も変われないし、引っ越したらすごい心配だ。可愛いけど、人見知りする美咲だから。あたしがいないと、何もできない美咲だから! 「そういえば、美咲テストはどうなの」 「聞かないで、いつも通りだから」 「本当、美咲は馬鹿なんだから」 「うう……自覚してますよぉーだっ」 「そんなところも可愛いんだけど、美咲は」 「綾子ぉ」 「馬鹿な子ほどかわいいってね」 「嬉しくないんだけど」 「あははっ」  膨れる美咲を見てあたしは笑う。  どんな顔も可愛いなあ、美咲は。  あたしにしか見せない表情だとは思うけれど。  この天使のような表情を独占してるなんて、なんて気分がいいのか。  つやつやな白い肌が赤く染まるのは、あたしと美咲の家族の前だけって知ってるから。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加