No.2

14/29
前へ
/29ページ
次へ
*  美咲の引っ越しが確定したのは、それからしばらくしてだ。 「うわあああん! いやだよぉおおおお! うわああああん! 綾子ぉおおお」 「落ち着いて美咲、皆が見てる」  大泣きする美咲をかばうように抱きしめるあたし。 「怖いよぉ、引っ越しなんて……知ってる人だれもいないんだよ?」 「いつ連絡してくれてもいいから、ね? あたしがいるじゃん」 「そーだけど! 傍にいるわけじゃないもん」 「美咲……」 「綾子のいない世界なんてやだー!」 「あたしだっていやだよ」  そう答えながら。あたしは黒い気持ちを抑えきれないでいた。  この学校から、クラスから、美咲がいなくなる。  ナンバーワンが、消える。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加