お手紙

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『お久しぶりです。お元気ですか。俺は今、社長を継ぐために父の仕事にひっついて過ごしていて、とても忙しいですが充実した日々を送っています。 まず、謝らなければいけません。 あの日、貴女に出会えた日。 俺は正直、女で抱けるなら誰でも良かったんです。 そこで貴女と出会った。 一夜限りの関係だと割り切って体を重ねました。 ですが、貴女は、今までのどの女性とも違い、『俺』に抱かれてくれたんです。 今まで出会った女は、みんな俺の財産目当てでした。 だから、驚きました。 俺は自分がちょっと有名なつもりでいたんですが、まさか貴女は知らなかったとは笑。 でも、俺がそういう偉い立場だと分かっても、貴女は変わらず、媚びずに接してくれました。 今まで俺の周りは、俺に重い期待をする人達か、俺の立場を狙って媚びる人間しかいませんでした。 だから、貴女がいてくれて良かった。 貴女と話す度に、年相応の一般男性になれた気がして、嬉しかった。 俺の結婚相手の御令嬢には、恋人がいるそうです。 だから、俺は愛のある結婚は出来ません。 御令嬢は素敵な方でした。 でもそれ以上に、貴女の方が魅力的だと思えて。 気付けば俺は貴女に惹かれて、あなたの事を愛していると気付いてしまったのです。 令嬢も俺も愛する人がいるのに、どちらとも結ばれないなんて、今までの行動が祟ったのでしょうか。 俺と令嬢は、夫婦と言うより、同じ苦悩を分かち合える仲間のような関係になりました。もちろん、親たちには夫婦として振舞っていますが。 こうして、メールで気持ちを伝えるのも、令嬢が提案してくださったことなのです。 なので、俺は何も気にせず、貴女に伝えます。 俺は、貴女を愛しています。 貴女が俺を愛していなくても。 いつか貴女が私に話してくれたように、貴女が誰からも愛されず蔑まれても。 俺だけは、貴女を愛し続けます。 実らないということは分かっています。ですが、俺の気持ちを知っておいてほしかったのです。 体だけを求めていなかったこと。 私は貴女を求めていたのです。 思いのまま書いたので、文章が読みづらいかと思います、すみません。 返信は頂けなくても大丈夫です。 貴女が大好きです。 愛しい貴女へ』
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