それは甘くて残酷な

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何度も体を重ねて、泥のように眠り、今は早朝だ。 私が目を覚ますと、隣に彼がスマホをいじりながら寝転んでいた。 その真剣な眼差しに思わず見とれる。 私の視線に気付いた彼は 「おはよ。体大丈夫?」 と薄く微笑みながら聞いてきた。 そんな彼の気づかいに、 「ええ、大丈夫よ」 とあえて冷たく返す私。 ……自分から冷たくしないと、期待してしまいそうだから。 「俺は今日予定ないから、もうちょっとだけここでゆっくり出来るけど」 「私は、家に帰らないといけないから。さよなら、また呼んでね」 素早く荷物をまとめて退室した私の背中に、彼の視線が刺さってることは分かってる。 ……やめて、そんなに見ないでよ。 切なくて胸が苦しくなる。
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