特製調味料

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特製調味料

 俺の友人は変わっている。  俺の日常も変わっている。  楽しいはずの高校生活。しかし俺には友人が1人しかおらず、その友人以外誰も俺に話しかけてもこない。場合によっては逃げられたりもする。  でも1人でいれば多くの視線を向けられる。ひそひそと話し声が聞こえる。  何故このような日常になったのかは分からない。気がついたらこうなっていたのだ。  だが、強いて言うならば俺の唯一の友人、佐竹(サタケ)と知り合ってからだろうか。徐々に俺から人が離れていったのは。  「おはよーっ、真崎(マサキ)!」  「あぁ、おはよう」  「はははっ!真崎、今日もいい匂いー」  席についていれば突拍子もなく後ろから佐竹に抱きしめられた。  犬のように首元に顔を擦り付け、匂いを嗅いで満足した頃にぺロ、と一舐めされる。  これは毎日されること。最初は驚いたが今はもう慣れた。  こんな女らしくもない俺に抱きついたり過多なスキンシップをして何が楽しいのだろうか。  何度止めさせようとしてもしつこくしてくる行為に呆れ、今では大人しくされるがままになっている。  「真崎、今日は昼に部活のミーティングがあって一緒に過ごせないんだ...」  「ん、そうか」  「わーっ、真崎冷たいよぉ。俺は夜、眠れなくなるくらい悩んだのに...」  「じゃあ、睡眠不足だな。授業寝ないよう頑張れよ」  泣きマネをする佐竹の肩を軽く叩いてやれば、それだけの行為に喜び、笑む佐竹。  そうしている間に1時間目の授業の始まりを知らせるチャイムが鳴る。  教師が入ってきたことによって席に着く佐竹に、席が近くの友人たちの多くが話しかける。  明るく、顔立ちもいい佐竹はクラスでも人気者だった。だからみんな、佐竹が俺から離れるやいなや我先にと佐竹に近づいていく。  その光景を見るたび俺はどこか申し訳ない気持ちになった。  きっと佐竹は友人のいなくなった俺に同情し、頻繁に絡んでくれるのだ。そのせいで他の奴らの、佐竹と過ごす時間を削ってしまっているのだから。  — 俺は別に1人でも構わないんだけどな...  元々、同年代の男子高生のように騒いだりするような性質でもなく、友人がいた頃もその友人たちが騒いでいるのをただ見ている側だった。  だから1人になったところで特に俺自身、困ったり悩んだりすることは全くなかった。  「行こう、真崎」  3時間目の授業が終わり、迎えた10分休み。次の授業までもう3分もないのだが佐竹は笑顔のまま俺の手を取り、教室から出ようとする。  「佐竹、」  佐竹の纏う、普段とは少し違う異様な雰囲気には見覚えがあった。  「行くよ、真崎」  「でも、授業が...」  「昼休み一緒にいれないんだ。授業なんて出てられないよ」  握られる手の力が強まる。口角は上がっていたが目は笑っていなかった。  有無を言わせぬそれに、俺は授業に出ることを諦め大人しく席から立ち上がった。  「あっ...く、ぅ...ん、ん゛んっ...」  「はっ...はっ、ん...真崎、まさ...き、」  背中に覆い被さる存在。佐竹は己の屹立で俺の中を掻きまわし、熱い吐息をこぼす。  太く熱いものが動くたびに穴の縁はミチミチと悲鳴を上げる。  これだけ責めたてられ、よく裂けないものだ、と思ってしまうほどに佐竹との性行為は激しく、乱暴的なものだった。  「んっ、ぁ...いく、真崎...中に、出すから、」  「んんっ、あっ...んっん、くっ、ぁ、」  射精するために早まる律動。ただ屹立を擦るために、そして先端を刺激するために俺の中を使って快感を得る佐竹。  そんな律動でも回数を重ねてきたせいか、俺は感じ、触ってもいないのに自身は勃ちあがって先走りを溢していた。  瞼を開ければ自身が律動に合わせて上下に揺さぶられているのが見え、思わず瞼を再び閉じた。  そして中のものが脈打ち、奥深くに吐きだされる熱。女のように扱われ、中出しされ...  「真崎...好き、大好きだよ」  うなじにキスをし、痕を残していく佐竹はそう、愛を囁く。  性行為も愛の言葉も全ていつものこと。俺にとっての日常。いつからこうなってしまったのかは分からない。佐竹とは気づいたらこんな関係になってしまっていたから。  「...」  だがそれに対して嬉しいと思うことはなかった。  ただただ俺は全てを受け止めていた。  佐竹の望みはできる限り叶えてやる。男として屈辱なことでも...  唯一の友人に俺がしてやれることと言えば、こんなことぐらいしかできない。それぐらいしか思いつかない。  自分が普通の人間と少し感覚がズレているのは分かっている。  今の日常がおかしいのだということも。  それでもそれが俺にとっての日常なのだから、しょうがない。受け入れるしかないのだ。  未だ昂ったままの自身に手を伸ばし、機械的に扱く。そうして吐きだされ、床に飛び散った精子を無情に眺めた。
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