聞かせてほしい、その耳を穿つ声を

10/24

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「いやー、最初はこの子どうかなーと思ったけど、キミは正解だった!」 「正解て」 実は面接の時、ショートボブの化粧っ気がない彼女を一目見て「ムリだ」と半分諦めていた。 「だってさ、初めて会った時のあのイマドキの男子感! チャラ〜い」  彼女がご丁寧に両手で俺を指差す。 「そんなこと思ってたのかよ」 言われてみれば最初は愛想こそ良かったが、腫れ物に触るように壁を張られていた気がする。 「うん。でも真面目に働くし、お客さんの評判も良いし、助かる!」 寝耳に水だった。思わずスプーンからオムライスを落とす。 「……よしえバァさんだけだろ?」 「んーん、常連さんはみんな都築くんが好きだよ。愛想ないけど優しいって」 まぁ、どう思おうと勝手だが。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加