聞かせてほしい、その耳を穿つ声を

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「おつかれさまでーす」  翌々日、すっかり治ってから出勤すると、心配そうな顔で彼女が寄ってきた。 「あ、都築くん大丈夫だった?」 「あーはい。ゴメーワクお掛けしました」  衣於吏さんが頭を下げた俺を見るなり噴き出す。 「なんか、都築くんが敬語使ってるのって面白いよね」 「っせぇな」 「ははっ」  彼女は笑い声風の声を立てながらキッチンに消えて行く。何があったのだろうことがすぐわかった。  声が、渇いている。
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