聞かせてほしい、その耳を穿つ声を

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 それからシフトが2、3日入ってなくて、午後の最後の授業の帰りにヒマを持て余し商店街を歩いていた。  さびれていると勝手に思っていたが、北欧風だかなんだかの雑貨屋や新設の素朴なカフェに明かりがついており、控えめな活気がある。  ふらついてる俺の目に飛び込んで来た、色とりどりの花々。そもそも花屋なんてあったことも知らなかった。 「あら、贈りものですかー?」  衣於吏さんよりもう10歳くらい年上らしき女性店員が目を輝かせて駆け寄ってくる。金髪の男が珍しいのだろうか、横でおばあさんが赤や黄色のバラを熱心に眺めているのに。 「いや、なんかもの珍しくて……」  俺はカーネーションやらに追いやられたかの如くショーケースの隅にひっそり置いてあるピンク色の花に目を留める。フワッと開いた花びらを眺めていると、よしえバァさんと読んだ花言葉の辞典を思い出した。 「すみません。あの花をもらえますか」
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