聞かせてほしい、その耳を穿つ声を

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「そうでしょ」 衒いもなく言ってもらえて、天国の彼は幸せだろう。 「洸麻くんも誰かに贈ってあげたら」 いい話だったな、で終わろうと思ったのに、ヤンキーと間違えられたこともある俺に向かって何を言うんだろうこのバァさんは。 「ジョーダン、柄じゃねーよ」 「あら、せっかくいい男の子なのに、いい人いないの?」 物静かで大人しいと思っていたが、けっこうズバズバ聞いてくる。 「片想い真っ最中だよ。報われるケハイもない」 「そんなの言ってみないとわからないわよ。片想いならこんなのどうかしら……」 報われたら困るとも言えず、俺は衣於吏さんが料理を運んで来るまで一緒に辞典を眺めていた。「お待たせしましたチーズのドリアですー」と何も知らない顔でやって来た彼女の目と、バァさんの無邪気で楽しそうな目を見比べて、むなしい気持ちになった。
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