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よしえバァさんがタクシーで帰った後、衣於吏さんがニヤっと似合わない不敵な顔をする。
「今日はラッキーだったね。よしえおばあちゃん」
「なんで」
「こーまくんといっぱいお喋りできたから」
「あーはい」
こんなチャラいガキは嫌いそうなのに不思議なバァさんだ。
「よしえおばあちゃん、いつも都築くんの出勤日聞いて帰ってるんだよ、知ってた?」
「……知らんかった」
だって俺には直接聞かないし。
「都築くんのファンはけっこう多い」
彼女がポンと俺の肩に手を置いて、上目遣いで顔を覗き込む。
「さぁ、今日は大掃除だ! エアコンのフィルターお願いしていい?」
「……はいはい何でもどーぞ」
彼女のこういう所が、いつも俺を悩ませる。
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