マカオでジャンプ

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マカオでジャンプ

「なんで私だったの?」 「()の凛がおもしろかったから」 「面白い?」 「みんなから頼られる学級委員は実はすごい泣き虫で、隙を見せずにしっかり頑張ってる弁護士先生は実は穴だらけで。色気ないし、女子力高そうに見えないし。恋愛偏差値、低いし。でもその()の凛を知ってるのは俺だけってっていう優越感」 「なんか、私へのダメ出しみたいになってない?」 「よく見つけたなぁって思うんだよね。一般受けするわかりやすさが無いんだよ、凜は。かなり無理してこじ()けないと見せてくれないからね。それを発見した俺って、すごくない?」 「質問の答えになってません」 湊馬(そうま)はそっぽを向いた私の頬に優しくキスをする。こんな微笑み方が出来るひとだったんだね。 「俺、気に入ったものは手放さないんだ。覚悟しておいて」 あっ、いつもの口角だけ上がるシニカルな笑みに変わった。 「意味わかんないし」 次は私達の番。なんか、私にだけいろんなハーネスとか金具が装着されてない?湊馬(そうま)もやるよね。 「私が先なの?」 「高校の頃、あんなに飛び降りたがってたじゃん?屋上から」 「はっ?」 「だから世界一のバンジージャンプ予約したんだし、凜だけのために」 「湊馬(そうま)はやらないの?」 「もちろん、やらない。なんで東京タワーより高いマカオタワーから飛び降りる必要があるのさ」 湊馬(そうま)は「いってらっしゃい」といでも言うように片手を上げた。 すごい勢いで下降しながら、飛び降りるのはこれで最後にしようと強く思った。
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