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ついでに、世良君ともうひとう共有しておきたいこともあった。
「凛さ、旦那の実家の方で揉めてるの知ってる?」
「スチュアートさんの実家?」
「そうそう。お義父さんの具合悪いらしくてさ。そうなると出てくるのが相続問題。スチュアート家の子供は亡くなった凜の旦那とそのお姉さん。相続人ベースだと他にお義母さんか」
「凜はあまりスチュアートさんの実家と交流なさそうだけど。。。」
スノッブの典型みたいなウチだよね、スチュアートさんち。人種的な偏見まであって。私、大っ嫌いなんだよね。結婚式に参加した時に会っただけだったけど。纏う空気が気に入らない。よくあの環境下で、ジョーイさんみたいなのが育ったと思うけど。まぁ、彼も同じ穴のムジナかもしれないけど、凜のことだけは少なくとも特別扱いだったかな。
「気を付けてあげたほうが良いかも。もし面倒なことになりそうだったら、さっさと入籍しちゃえばいいじゃない?そうすればスチュアート家と縁、切れるしさ」
「入籍?」
「この期に及んで、結婚、考えてないとか言わないよね」
「もう書いてある」
「はっ?」
「後はどうやって凜に名前を書いてもらうかだけど。このままだと、時間、かかりそうかな」
そこまで用意してたんだ。でも、なんなの、この弱気ぶり。
どうした世良湊馬。私の知っている彼とは違い過ぎないか?
それからも私達は飲み続けた。どっちもつぶれないから、ひたすら飲んで。
翌朝、私はどうにかベットの上。
世良湊馬はソファー。
「何でですか?何で僕だけ床なんですか?」
矢島の朝から始まった愚痴は止まらない。
酒に弱いお前が悪いわ。
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