聞くが早い

3/3
前へ
/134ページ
次へ
ついでに、世良君ともうひとう共有しておきたいこともあった。 「凛さ、旦那の実家の方で揉めてるの知ってる?」 「スチュアートさんの実家?」 「そうそう。お義父さんの具合悪いらしくてさ。そうなると出てくるのが相続問題。スチュアート家の子供は亡くなった凜の旦那とそのお姉さん。相続人ベースだと他にお義母さんか」 「凜はあまりスチュアートさんの実家と交流なさそうだけど。。。」 スノッブの典型みたいなウチだよね、スチュアートさんち。人種的な偏見まであって。私、大っ嫌いなんだよね。結婚式に参加した時に会っただけだったけど。纏う空気が気に入らない。よくあの環境下で、ジョーイさんみたいなのが育ったと思うけど。まぁ、彼も同じ穴のムジナかもしれないけど、凜のことだけは少なくとも特別扱いだったかな。 「気を付けてあげたほうが良いかも。もし面倒なことになりそうだったら、さっさと入籍しちゃえばいいじゃない?そうすればスチュアート家と縁、切れるしさ」 「入籍?」 「この期に及んで、結婚、考えてないとか言わないよね」 「もう書いてある」 「はっ?」 「後はどうやって凜に名前を書いてもらうかだけど。このままだと、時間、かかりそうかな」 そこまで用意してたんだ。でも、なんなの、この弱気ぶり。 どうした世良湊馬。私の知っている彼とは違い過ぎないか? それからも私達は飲み続けた。どっちもつぶれないから、ひたすら飲んで。 翌朝、私はどうにかベットの上。 世良湊馬はソファー。 「何でですか?何で僕だけ床なんですか?」 矢島の朝から始まった愚痴は止まらない。 酒に弱いお前が悪いわ。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加