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勝算あります
「連れ去られそうになったって?」
俺は凜に電話で真相を聞いてみた。
「大丈夫。ノアが大声出して。。。。」
やっと、凜との距離を詰められたと思ったのに。
週末にノアを動物園に連れて行こうと誘っても、ドライブを提案しても、片っ端から断られる。断られたのは勿論、1度や2度じゃない。言い方悪いけど、ノアをダシにしたら凜は断れないはずなのに。ノアが行きたがってるって言えばいいだけだから。
凜に相談する前に、ノアには手を回してあるから、そもそも『Yes』の選択肢しかない。
やっと双方向に復活したメールを送っても返信がない。理由を聞いても、ハッキリしない。
また俺から逃げる気かと思ったし、今度は絶対逃がさないとも思ったけど。断ってくる理由がわからなかった。
凜の母親からノアの連れ去り未遂の衝撃的な事実を聞き出せたのは、今日の診察のとき。
危険過ぎて、外出なんかしてられないってことだよな。
なぜ、俺に何も言わない?なんで相談してこない?
「なんで俺に言ってこない?警察には届けたの?」
ちょっとキツイ言い方になったかなとも思う。
「届けてないっていうか、出来ないっていうか」
要領を得ない。何かトラブルにでも巻き込まれてる?
この調子だと聞いても答えないだろうから、凜に関わる情報を整理してみるか。矢島情報によれば仕事は順調のはず、ノアも一時期いじめられてるって心配してたけど、保育園の先生が間に入ってどうにかなったって。及川さん関連でいえば。。。。
あぁ、そうゆうこと?
「警察に届けることが出来ないってことは、相手がわかってるっていうことだよな?」
凜は何も答えない。図星かよ。
「これから凜のとこ、迎えに行ってもいい?荷物、ある程度まとめておいて。少なくとも俺んちの方が安全じゃない?スチュアート関連だろ?」
十分に間があいた。凜が必死になって他の方法を考えているのがわかる。
Time over.
「なんで知ってるの?」
「この前、飲んだ時、及川さんからちらっと聞いた。なんで俺に相談しない?ノア、連れていかれてもいいの?」
「それは絶対イヤだ」
よく出来ました、決まり。即答だね。
凜、さすがに今回は俺がもらうよ、この勝負。
今回の俺の勝算はかなり高い。
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