他人のモノは私のモノ

やっと眠れそうです

1週間前からなぜか湊馬のおウチにお邪魔している。

スチュアート家の弁護士から正式に養子の打診がきたのは1カ月前。ノアを跡取りに迎える以上、きちんとした教育を受けさせたい、ジョーイと同じように小学校から寄宿舎に入れて、大学はどこの大学に入れて、職業は。。。。。。いろいろと書かれた文書。日本にいれば、ノアみたいな見た目はいじめの対象になるだの、シングルマザーでは十分な教育が出来ないだの、私の耳の痛いことをズラズラと並べてきた。私はちゃんと拒絶したし、どうしても必要があれば私がアメリカでノアを育てるとも説明した。
あのスチュアート家の弁護士、鼻で笑いやがったけど。
これでも、私だって弁護士なんだから、昔よりはるかに権利を主張することぐらい出来るようになったわ。

あの辺りから始まったのだと思う。ノアが知らない人に連れていかれそうになった。母からの突然の電話だった。ノアと一緒にいても視線を感じることがあった。知らない車が私たちの住むマンション近くで停まっていることもあった。これはどっち側？義父がノアを連れ去って跡取りにしようとしている？それとも義母と姉の連合軍？判断がつかない。そうこうしているうちに、外出が怖くなった。事務所にいても電話が鳴るたび、ドキドキする。保育園に迎えて行って、ノアの顔を見ると心からほっとする。買い物をしている時だって、手を離せない。だから、最近はもっぱらネットでしか買い物が出来ていない。だからって、両親に甘えるのも、愛理たちの手を煩わせるのも申し訳なくて。そんな時にもらった湊馬からの連絡。

正直、ほっとした。ホントにほっとした。

安心出来る場所が欲しかった。