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挨拶に行かなきゃね
「今頃、両家顔合わせだよね?愛理、大丈夫かな?バックレたりしてないよね?」
及川・矢島両家が愛理を探してパニックになっている状況まで想像してしまった。考えすぎだよね?
「そこまで言うなら、様子、見に行ってみる?」
ノアとブロックを組み立てながら、湊馬が答える。
「愛理と矢島君の問題だし。そこまではいい」
私が無理やりねじ込んだみたいになってる?
愛理、怒ってるかな?怒ってるよね。
私のせい?だよね。でも結果オーライだと信じたい。
私は言い訳がどうしても欲しかったのかもしれない。私自身がすすんで婚姻届を書いたんじゃないっていう言い訳。だから愛理を道連れにした?私が婚姻届けに名前を書いたのは他に選択肢がなかったからというエクスキューズのため?
「高坂の家にもきちんと挨拶に行きたいんだけど」
。。。言葉の意味を理解することを私の脳細胞がスルーしようとした。
えっ、こっちにお鉢が回ってきた?
「言ってないんでしょ、入籍したこと」
ブロックを指先で弄びながら湊馬が言う。
「時期を見て、ちゃんと説明するから」
私は言葉を濁す。
「ノアをスチュアート家から守るために、形だけ入籍しましたって?」
私は頭を抱えてしまう。これって、皮肉だよね。
私の揺れる気持ちを湊馬は言葉にしてくる。
「まぁ、形も大事だから。中味は後からボチボチ合わせてきてよ、奥さん」
絶対、私のこと、からかってるよね。
湊馬は立ち上がると私が座っているダイニングの椅子の後ろから軽くバックハグをしてくる。そして首筋に軽くキスをする。
「俺、これから何があっても離婚届には印鑑押さないから」
耳元で囁く湊馬は勝ち誇ったように微笑んだ。
ダークサイドキャラ、降臨だ。
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