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サバイバー
凜はたまに俺の腕の中で眠っていても『ジョーイ』と呼ぶことがある。今でも最愛の人なんだろう。泣きながら目を覚ますこともある。そして俺を見て、目を伏せて気まずそうにしたり、落胆の色を浮かべたりすることもある。その度に俺は凜を強く抱きしめる。忘れることは出来ないし、無かったことにも出来ない。それはわかっている。それでも、そんな表情をする間隔が少しずつだけど、あいていくようになってきているように思う。ちょっとずつでいい、俺たちの時間は先に向かって長く続いている。もう中断なんてさせないから。
それでも、やっと結婚指輪の話も出来るようになってきた。矢島の姉がジュエリーショップに勤務しているとかで、営業要請をしてきたのがきっかけだった。
『2つ重ねてつければいいから』
やっと凜が首を縦に振ってくれた。今までにも何度かそんな話をしてみたけど、その度にはぐらかされてきた。重ね付けしても違和感のないリング。マウントは俺が上位をとらせてもらう。そのぐらいのプライドは持っていいだろう。生き残った者が勝ち。どうせ、俺はダークサイドキャラだし。
リングにはメッセージを入れた。
Rin fm Soma
イニシャルにしようとしたらSS
どれだけイジメっこなんだって感じだから止めておいたけど。
凜には何度かジュエリー系のプレゼントを考えたこともあったけど、渡すことを躊躇した。高校の時にネックレスを返されたことが、どうしても思い返されてしまう。結構なトラウマになってるらしい。俺らしくもない。基本、女性にジュエリーなんか贈ったことがない。ましてや、跪いて、『結婚して下さい』なんてどう考えても、俺のキャラじゃない。でも、それをジョーイはやったわけで。同じことしたって意味ないし。どうやって渡せばいいんだろう?
でも出来上がってくるのは楽しみだ。
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