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ノアと莉子の居場所は比較的容易に判明した。
娘の灯里が母の居場所をGPSを使って把握することができたから。
莉子はこんな時でさえも、ご丁寧にSNSにもいろいろ写真を上げていたからより細かい情報を入手出来たのも大きかった。大体のフライトも推測出来たし。
マシューには湊馬が連絡を取ってくれた。
ちょっと早めに大学生になっていた彼は、空港でどうにかノアをピックアップすることに成功したらしい。どうやら、スチュアート家の弁護士も待ち構えてそちらに誘導しようとしたらしいけど、ノアがマシューの名前を呼びまくり、周囲の視線を集めてしまったらしい。空港のスタッフなども動き出して、ちょっとした一悶着があったとか。
ノアはマシューが空港にいたことにとても驚いたらしい。とっても大変な事故にあって、入院しているからお見舞いに来て欲しいと言われたいたのにって。でも私がアメリカに行きたくないから、替わりに連れて行ってあげると莉子に言われていたとか。確かに積極的に行きたいとは思ってないけど、マシューに何かあったら、必ず行くのに。
もう何が何だか、どうすればよかったのかわからない。
私が迎えに行くと主張したけど、さすがに湊馬に却下された。
私が流産してしまったから。まだ3週目くらいだったらしくて、本人でさえ気付いてなかったという始末。最近、忙しすぎて。もう、なにもかも全てが申し訳なくて、意識を取り戻すと私はひたすら泣き続けた。
この時、ずっと泣けなかったのに、私は涙を出して泣くことが出来た。ジョーイが死んでからは泣くことさえ出来なかったから。悲しすぎると、涙も出ないんだって、あの時初めて知ったけど。
「ごめんなさい」
私が謝る度に、ひたすら湊馬は抱きしめ続けてくれたけど。
湊馬の前で、誰の前でもだけど、こんなに泣いたことは人生でなかったかもしれない。私の中で溜まっていた滓が流れ出していくのを感じながら、私の涙は流れ続けた。
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