久しぶり

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久しぶり

母が転院したきっかけは前回の最初の癌の手術を担当した先生が海外に赴任してしまったことと、病院の改築があって新規手術を見送っていること、担当していた先生の後輩を紹介されたことなどを父から聞いた。 世良君の腕はいいらしい。海外で1年勉強もしてきたとか。外科医の手術は体力勝負のこともあり若手も活躍しているとのこと。院長の息子だし。手術自体はベテラン先生が別途つくらしいという情報も得た。後は実際の手術の成功確率なんだけど。。。 「先生、実際の所、手術は上手くいきそうでしょうか?」 直接聞くのもどうかと思ったけど、一度は聞いておきたかった。何度かためらった後、やっとの思いで世良先生に電話することができた。 「最善を尽くします」 教科書通りの回答だ。落ち着いた声。 「心配ですか?不安もあると思いますが、ご本人が一番不安だと思いますので」 「そうですよね」 先生も忙しいんだから、電話切らなきゃだよね。 「お忙しい所、お時間をとらせてしまって。。」 電話の向こうが少し騒がしくなった。車の音が聞こえる。外に出たのかな? 少し間があった。最後に挨拶して電話を切ろうとした時だった。 「手術、頑張ってほしいんだったら飲みに付き合ってよ。学級委員長さん。」 口調が違う。っていうか、いきなりため口が聞こえてくる。 「あの。。。。」 「10年ぶりくらいかな」 「あの。。。。。。」 「凛の東京帰還祝いも兼ねて」 声のトーンも変わってる。 「嫌だって言われたら、担当医、降りちゃうよ」 「それは困る」 「じゃ、決まりで。今日、何時上がり?」
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