返さなきゃ

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湊馬のちょっと後ろを歩きながら、初めてお家にお邪魔した。 学校帰りに校門前で湊馬は普通に待ってて、そのまま一緒に電車に乗って。でもほとんど何もしゃべらなくて。 湊馬の家は誰もいなくて。そのまま湊馬の部屋に行った。当たり前にキスされて、湊馬はきっと慣れてるんだなって思って。まだ余裕のあったのはそこまでで。あとはもうパニックに近くて。。。 帰りは、家の近くの駅まで送ってくれた。家まで送ってくれるって言ったんだけど、そんなことしたら莉子に何をされるかわからないから。。。 それから私は受験勉強に集中した。学校の屋上にも行かなかった。 莉子も受験生だったんだけど、さっさと推薦で大学付属の高校に入学を決めていた。大人受けはいいもんね。可愛い笑顔。 この一件で、私は一つ決めたことがある。この家から出ようって。 莉子は小さい頃、未熟児で生まれたこともあって、体が弱かった。何度か大変な手術も受けた。そのせいか、両親は妹に付きっきりのことが多かった。 「お姉ちゃんなんだから。」 「莉子は体が弱いんだから、我慢して。」 「莉子が欲しがっているから、あげなさい。」 何度も言われてきた。たまに私が言うことをきかないと、親からすれば我儘ということになるらしいんだけど、最後に必ずこう言われた。 「あなたがきょうだいを欲しいって言ったから」 私がそう言ったから、母は少し無理をして妹を生んだ。一人でもいいと思ったけど、あなたが欲しいと言ったから。。。。
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