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聞くが早い
くっついたり、離れたり。あの二人、何やってるんだろう。こんな風に思うのは何度目?
絶交宣言をした後も、世良君からは連絡がきた。正直、かなり頭にきていたし、凜案件の対応は全て矢島に丸投げした。
矢島からはその後の世良君の様子は報告を受けていたけど。凜が帰国しても、ノーアクションってどうなのよ?
家で一人酒を楽しんでいたら、インターフォンが鳴った。画面に映るのは誰かに背負われてるらしい矢島の姿。何時だと思ってるの?
「愛理さぁん、入れてくださぁい」
週末は最近、当たり前のようにウチにやって来るようになった。でも今日は仕事で接待があるから、来るなって言っておいたのに。
「絶対、イヤ。酔っ払いは帰って。近所迷惑」
「世良さんも泊めてくれないって言うんですよ。だからぁ、愛理さん、泊めてください。週末はいつも愛理さんの所って決めてるんです」
世良?この画面に映ってる肩は世良君?
正直、ちょっとだけ興味がわいた。それにこの酔っ払い、面倒くさそう。後ろに明らかに迷惑そうにしている二人とは違う人影も見える。もしかして、矢島たちが邪魔してエントランスのドアを開けられないんだろうか?仕方なく私はセキュリティーの解除ボタンを押す。
矢島を背負うように肩を貸して、玄関に現れた世良君は
「置いたら帰るから」と一言。
「玄関じゃ邪魔だから。ラグの上にでも転がしておいて」
私は奥のリビングの方を指差す。
「入っていいわけ?絶交中だと思うけど」
「どうぞ。ついでに、ちょっと確認したいこともあるから」
帰ろうとする世良君を私は引き留めた。
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