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そうしてふたりっきりで囲んだ夕食は、それはもうゴーカケンランだった。
じっくり煮込んだビーフシチューはもちろんのこと、りっちゃんは色んなものを用意してくれていた。
あまずっぱいソースのかかったサラダ、
刻んだトマトとにんにくの乗っかったフランスパン(ぶるすけった、って言うんだって)、
お手製のコイン型ハッシュドポテト。
最後にはプリンまで出てきたんだからびっくりだ。
そんな大ごちそうを食べる前に、ぼくはりっちゃんにちゃんとあやまった。
今までひどい態度をとってごめんなさい、って。
りっちゃんは、いいよ、って言ってくれた。
そうして小さく笑うりっちゃんを、やっぱりまっすぐ見てられなくって、ぼくはすすめられるままガツガツと食べてしまった。
その合間に、ぼくは向かいに座っているりっちゃんを隠れるようにチラチラとみやった。
短めの茶髪に、ちょっとつりあがった目元。
ツン、とすました口もとは、だけどやさしく笑うこともある。
ぼくはもう、りっちゃんが全然こわくなくなっていた。
そのかわり、胸のあたりでうずうずする感じは、もっと強くなっていた。
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