花言葉

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花言葉

「花のある生活がしたい」  妻が突然言い出した。新型ウイルスが猛威をふるい、外出自粛の波が私が開いた道場にも影響を与えた。  非常時でも働く警察関係者の生徒が多いゆえに、早くから道場を休講としたのは、正しい判断だったと思う。彼らから町の子供達、もしくは逆の場合もしかりだが、普段、交流することのない職業の者たちが集まると、リスクも高いだろうと見込んでのことだった。元同僚達からは、初めは考え過ぎだろうという声もあったが、今では称賛されているくらい広まってしまった。私としては、杞憂であって欲しかった。  そんな心配が先立って、妻にも早くから外出を控えるように言っていた。買い出しは私が変わり、元々堅実な生活だったが、それに拍車をかけた最小限の生活。  長めの学ランを羽織り、バイクで走り周っていた過去を持つ活発的な妻・紫央には、今回ばかりは些か窮屈だったようだ。 「義治さん。私、家で家事をするのも、道場の掃除を手伝うのも苦になりません。義治さんの手助けになれてることだと思うと嬉しいもの。でも、せめて、買い物くらい私にもさせてくれません? もう何日も花瓶が空なのも気になってるんです。それに、家に居るばかりじゃ、さすがに気が滅入ります」 紫央は、湯呑みに熱い緑茶を入れて差し出しながら続ける。
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