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「私とマリーはとても似た境遇の中を生きてきたと思っていた。でも、今にして思えば私とあなたは、スタートも違えば、生き方も違ってた。私、なんでその事に気付かなかったのかしら」
剣のある声だった。
「随分と遠回しな言い方ね」
「じゃあ、はっきり言いましょうか。あなたは、変わった。この東京の街のように。何故、あんな事が出来るの」
「〝あんな事〟?」
二人が交わす視線に、微かな敵意が滲んだようだった。マリーが、クスッと笑った。
「もしかして恵三さんのこと?」
見返してきた視線にエミーはぞくりとした。初めて見るマリーの表情だった。
「あたしは、最初から貴女と同じなんて思ってないし。それに……そもそも恵三さんは、貴女のものじゃないでしょう?」
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