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待つこと二日。
夜にバッグが届いた。
早速箱を開けて中を見る。
色褪せもないし、傷もない。
新品といってもいい。多分全然使わないでいたのを売ったんだろう。
綺麗だ。満足。
エミルさんにお礼のメールを送ろう。
ベッドに座って、スマートフォンを操作する。
「無事届きました。大事に使います。ありがとうございました」
テンションは上がっているけど、文面は冷静に。
送信。
一時間ほど後にきたのは、シンプルなお礼。それと気に入ってくれて良かった、という一言だった。
次の日、大学にサブバッグとして持って行った。
新しい物が一つあるだけで気分が違う。
「おはよう」
講義室に入り、一人座っていた絵梨に声をかけた。
「おはよ。ってカバン新しくなってない?」
「分かる?」
絵梨は誰かが髪を切ったらすぐ指摘する。そういう子だ。ブランド品には興味なさそうだけど、そのまま話を続ける。
「フリマで買ったの」
「ちょっと見せて」
好奇心旺盛。ちょっとこどもっぽいのはいつものこと。
良いよ、と答えて貸した。
裏表。全体を見る。
さすがに中までは見ないけど、遠慮のえの字もない。
名前にはえが付くのに、とか緩いことを思っていたら、絵梨がバッグを返してきた。
「これ、偽物だよ」
「え?」
意外にも分かるらしい。というか、その前に言った一言に驚いた。
そんなにはっきり言わないでほしい。それもよく通る声で。誰かが寄ってきたら、と焦り半分に思ってたら、怜奈がきた。
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