花束じゃなくていい

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昇降口前にたくさんの先生が立っている。 遠くからそれを眺めながら俺は早くいなくならないかなぁと思う。 そこへ女の子がうつむきながら昇降口に近づいていく。 きっと先生が立っているのが嫌なのだろう。 立っている先生たちはそれぞれ隣にいる先生と話している。 「おはようございます。」 聞こえてきた声は一つだった。 つまり挨拶した先生は一人ということだ。 女の子は少し会釈をして昇降口に入って行った。 俺はそれを見ながら舌打ちをする。 なんのためにてめえらはそこに立ってんだよ イライラしながら昇降口へ向かう。 「おはようございます。」 「おはようございます。」 たくさんの先生が俺に挨拶をする。 それをさっきの子にもしろってーの そう思わずにはいられない。 「おはようございます。」 不機嫌な声で答える。 また隣と話し始めた先生を俺は軽く睨む。 もちろん睨まれているとは知らず先生は話し続けるのであった。
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