花束じゃなくていい

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『301』 プレートを確認して下駄箱に近づく。 下駄箱前で靴を脱ぐ。 その横を同じクラスの男子が黙ったまま通り過ぎた。 「おはよう。」 前にある背中に俺は声をかける。 「おう。」 不愛想にそいつは答える。 そいつは自分の靴箱の前で靴を脱いだ。 見咎められる行為だが大体のやつはそうしているので俺は何も言わない。 靴を手に取ってそいつの横に立つ。 俺達は一言も話さない。 俺が靴を入れている間にそいつは廊下へ出て行った。 その背中を見届けて、俺は小さく息をつく。 なんでだろうなぁ…。 そう思いながら。
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