花束じゃなくていい

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俺はそれに気づかないふりをして「やれやれ」という顔をした。 「手紙だろうが花だろうがどっちでもいいけど、これどうすればいいと思う?」 「ん~……。」 あかねは少し考えるそぶりを見せた。 「あ。保健室にどう?」 「はぁ?」 意味の分からない発言にそう返すと、あかねは少しむくれた。 「保健室の先生なら何も言わずに置いてくれるって!」 強気な言葉に俺は少しうろたえる。 「な、なんでそんなに怒ってんだよ。」 「別に。」 あかねは俺の下駄箱から花を取った。 「えっちょっ!」 「ほら行くよ!」 あかねは俺の手首をつかみ保健室の方へ歩いた。
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