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「…おなじ、目…」 本を読むために前髪は髪留めで留めていたので、そのまま顔を上げると同じ瞳をした人がそこにはいた。そして隣には瞳こそ同じではないが、顔立ちがそっくりな人がいた。 「君がエミリア?」 「俺はラウノ・エルヴァスティ、こっちが弟のラウリ。俺たち、君のために留学してきたんだ」 「俺たちは、君を助けに来ました」 「………どう、いう…?」 人影ができたと思い、顔を上げれば、双子らしき二人に助けに来たと言われる。よくわからなかった、ただ一つ分かったのは彼らがエルヴァスティ王家の人間で、私の従兄、というくらいだ。 私の母はエルヴァスティ王国の王女で、留学先で父と出会い、恋に落ちた。現エルヴァスティ王は母の弟にあたる人物になる。母と父は結婚し、エルヴァスティ王家の血が流れる私が生まれた。アベラール王国王家も私が友好国であるエルヴァスティ王家の血筋であることを知っているので、侯爵令嬢と身分も申し分ないことから、アンジェリカ様を押しのけて私を王子の婚約者にした。 母が亡くなってから、エルヴァスティ王家に連絡を取る手段がなかったから、エルヴァスティ王家の血筋に私は数えられていないものだと思っていたのだけれど、どういうことだろうか。 「エミリアから言うと、叔父にあたる俺たちの父上がね、エミリアの様子がおかしいから探ってこいって命令を出したんだ」 「俺たちのもとに届いていたアニタからの手紙には赤ちゃんから六年間までの写真が付いていました。ですが、それ以降、そっけない手紙しか届かない、写真もない、アニタらしい手紙ではない。また、伯母上、君のお母様ですね。伯母上の結納時の品がエルヴァスティ王国にまで流れてきている。これは可笑しいと、父上は俺たちに調査をするように命じたのです」 「私の母はエルヴァスティ王女でしたが、もうご実家であるエルヴァスティ王家を出た身。その娘であっても私はエルヴァスティ王家の血族には数えられないはずです」 「いいや、エミリア。君が生まれた時点で、エルヴァスティ王家に名前が連なっているよ」 私のことを「俺たちの大事な従妹であり、妹」だと言うラウノ殿下とラウリ殿下。なぜ名前が連なっているのかはわからないが、そういう家系なのかもしれない。 「そして状況によってはエミリア、君をエルヴァスティ王家に迎え入れようと思っているんだ」 「わ、たし、を…?」 とても行きたいと思ってしまった。でもそれを決めるのは私じゃない、彼らと最終決定を下す彼らの父であるエルヴァスティ王だ。私が行きたいと願っても、彼らがその必要はないと思えば行けない。
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