清純には慣れておりません

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映司はその年季の入ったビルに足を踏み入れエレベーターに乗り、三階にある事務所へ向かった。 どうやらこのビルは住居用マンションらしい。 そして、そんな中に、小さな文字で書かれた手作りの看板が掛かっている部屋を見つけた。 “One World One Dream” “犬猫たちの幸せの揺りかご” 映司は大きく息を吐く。 このドアの向こうに、自分の人生を狂わせる出会いがあるとは夢にも思わずに。 ブーーーッ、ブーーーッ。 旧式のインターホンは間の抜けた音がする。 そんな強烈な音なのにうんともすんとも反応がない事に不安を覚えながら、映司はしつこく何回も鳴らした。 …いや、いや、居ないって事はないよな? 半分諦めの境地で最後のブザーを鳴らした時、やっとドアが開いた。 いやドアを開けてくれたわけじゃない、ただ鍵が開いただけだった。 「え?」 映司は元々気が利く人間じゃない。 鍵を開けた事は入っていい事だと勝手に理解して、思い切りドアを開いた。
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