清純には慣れておりません

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「い、いらっしゃいませ…」 小綺麗に整理整頓された玄関には誰も居ない。 でも、目を凝らし奥の方を見たら、廊下の遥か先の方に着物を着た女性が立っていた。 映司はゾッとした。 …幽霊?? 「あ、初めまして… EOCの方でいらっしゃいますよね…? わたくし、七条咲子と申します。 この度は、このような仕事を引き受けて下さり、本当にありがとうございます」 映司は耳を澄ませて聞いていた。 っていうか、遠いんですけど。 遠くで微笑む咲子様の状況が全くつかめない。 「あ、あの、入ってもいいですか?」 映司は遠くで微笑む咲子様に大きな声で聞いてみた。 良くも悪くも、映司という人間は全く気が利かない。 母親がイタリア人というハーフで生まれたせいか、日本人特有の空気を読むという能力を持ち合わせていなかった。 映司は咲子様の返事も聞かず、ピカピカの革靴を脱ぎ始めた。 そして、奥のリビングの方へ行ってみると、さっきまでいた咲子様の姿がない。
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