清純には慣れておりません

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映司はお雛様より可愛らしい咲子をずっと見ていた。 でも、映司が身なりを整えた後も、何だか咲子の挙動不審は治まらない。 お茶を飲んだり、ハンカチで汗を拭ったり、頷いたり、俺を見てニコって笑ってみたり。 「咲子様、ここの団体の今の状況を教えてください」 映司がそう言うと、咲子はハッとした顔で何かを探し始めた。 「堀江様、そうなんです… 私、堀江様にちゃんとプレゼンしようと思って、準備をしてきたんです」 プレゼン?? そんなかしこまったものを? そして、咲子はその探していた書類を見つけるとそれにサッと目を通し、背筋を伸ばして立ち上がった。 映司の目の前に立つと、咲子は大きく深呼吸をする。 映司にしてみればその書類を見せてくれればいい事なのにと思ったけれど、咲子の緊張した顔を見ているとそんな軽い言葉をかける勇気はない。 「では、始めさせていただきます…」 もう明らかに咲子の緊張が映司にもうつっていた。 俺相手に緊張している咲子を見ていると、俺まで手に汗が滲んでくる。
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