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何だか咲子は混乱していた。
何なのだろう…
このEOCという会社は、こんなに素敵な人ばかり働いてるの…？
咲子は隣に立つ明智という人の横顔を見ながら、少しだけときめいている自分が恥ずかしかった。
映司は悪夢を見ているかと思った。
グランドピアノの前にいるはずの咲子が、最悪にも皆の心を虜にする明智君と笑いながら歩いてきているのだから。
映司は10分前にはこの場所に着いていた。
でも、咲子の姿が見当たらない。
おっちょこちょいの彼女だから、きっと、道に迷っているに違いないと思い、何度か外の大通りを覗いたりもした。
12時になっても姿が見えず、はっきり言って、あり得ないほど心配した。
足を踏み外して駅のホームに落ちてるんじゃないかとか、似た名前の違うビルに行ってるんじゃないかとか。
今、咲子の携帯に電話をしようとしているところだった。
そしたら、入り口とは全く違う場所から、どうしたことか明智君と談笑しながら歩いているなんて…
「映司さん！」
さわやかな明智君の笑顔が、たまらなく憎たらしい。
でも、大人の男性なら、何事もなかったようにクールに応じなければならない。
俺はそんな風にふるまえているか…？
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