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映司が咲子の顔を覗き込むと、咲子はまた真っ赤になっている。
肌の色が白いせいで咲子の首元のピンク色は、映司をあり得ないほどそわそわさせた。
「じゃ、咲子ちゃんでお願いします。
今まで、そんな風に呼ばれた事がないので…」
あっという間に32階のフロアに着いた。
その空間は広々としている。
映司は咲子の手を取ったままその通路を一番奥まで歩いた。
「咲子ちゃん、今日は着物じゃないんだね？」
咲子はあの日の記憶が蘇り、また顔が真っ赤になる。
「本当にお恥ずかしい限りです。
先日のあの失態を事務所の者に話したら、皆さん、天井を仰いでため息をついてました」
映司はこんな時にもおしとやかに自分のおっちょこちょいを話す咲子が面白くてたまらない。
いたって真面目なのが、本当に可愛すぎる。
映司は無意識のうちに咲子の肩を抱き寄せた。
「ほら、もうお店の人が待ってる。
ここのランチは最高に美味しいんだ」
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