天然と純粋の違いが分かりません

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「堀江様、何か私の顔についていますか?」 咲子は困ったようにはにかんでそう言った。 映司は下を向いてクスッと笑った。 …咲子ちゃん、もう、俺は君の虜みたいだ。 そんな風に心の中でつぶやいて。 「咲子ちゃん… 堀江様って、何だか俺じゃないみたい。 他の呼び名がいいな。 咲子ちゃんが決めて」 こんな甘ったるい言葉が映司の中から自然に出てくる。 咲子マジックは誰にもなびかなかった映司を、一瞬で変えてしまった。 「分かりました… じゃ、堀江さんでお願いします…」 「堀江さん??」 「ダメですか? じゃ、堀江氏で…」 「堀江氏??」 映司は笑いが止まらない。 今のこのやり取りってどう見てもコントだろ? でも、咲子のいたって真面目な顔に、ますます笑いが止まらなくなる。 「じゃ、どういたしましょう…?」 咲子は、映司の日本人離れした美しい顔が、くしゃくしゃと笑顔になる怖いほどの魅力にあらがえずにいた。 素敵すぎて眩暈がする。
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