天然と純粋の違いが分かりません

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「じゃ、俺が決めていい?」 咲子は少年のように笑う映司を見ながら、小さく頷いた。 「映司でいいよ。 名前で呼んでほしい」 咲子は、無理、無理と手を必死に横に振った。 そんな生まれてこの方、男の人を名前で呼び捨てにした事なんて一度もないし、それに仕事の大切なパートナーをそんな名前で呼ぶなんて、地球がひっくり返ってもあり得ない。 「そんな、無理です。 名前でなんて呼べません。 私の家では兄弟でも名前にさんを付けで呼んでいて、だから、今まで他人を呼び捨てとかしたことがなくて… ごめんなさい… せめて、映司さんにしてもらっていいですか?」 咲子は映司にジッと見つめられているせいで、普通の会話をしていても顔が赤くなる。 すると、映司の顔が何だか意地悪に微笑んで見えた。 「じゃ、段階を踏んで呼ぶようにしようか。 今は映司さんでいいよ。 でもしばらくしたら、映司って呼んでほしい、いい?」
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