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映司は自分の恋愛事情は棚に上げて、咲子にそんな質問をした。
映司自身、キスなんて挨拶のようにできる。
今まで付き合った女性も皆そんな感じで、それなのに、咲子に関してはどうしても寛容になれない。
映司は何も答えない咲子を切ない瞳で見つめた。
「キスは、17歳の誕生日に、その時の家庭教師の先生にお願いして、誕生日のプレゼントという事でしてもらいました。
その先生に誕生日に何がほしい?って聞かれて、何となくキスって言っちゃったんです。
そしたら、そのまま何となく…」
映司は嫉妬という感情に支配される。
何年も前の話なのに、その先生とやらが羨ましくてたまらない。
咲子はそんな映司の気持ちには何も気付かす、デザートのソルベを嬉しそうにほおばっている。
映司はこの話はここで止めようと思った。
この凄まじい嫉妬の嵐に、今の俺はどう対処していいのか分からない。
映司はそう納得して他の話題に振ろうとしたその時、咲子がまたぼそぼそと話し始めた。
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