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「俺は、どんな状況になっても、咲子ちゃんの前から逃げたりしない。
それは約束するよ。
このみなぎる自信、何でだか分かる?
それは、俺が、七条咲子様に釣り合う人間だから。
全てにおいて、ね」
咲子はさっきからの映司の言葉をどう受け流そうかとずっと考えていた。
そうしなきゃ、本気になってしまう自分が怖い。
結局は、皆、咲子の元から去っていく。
私の気持ちだけを置き去りにして…
でも、映司の最後の言葉は、咲子の胸にじんわりしみ込んでいく。
「咲子ちゃん、ちょっと外を歩こうか…?」
その個室に面したテラスには、たくさんの木々や花々が所狭しと咲いていた。
今日は風がないせいで、冬と春の中間くらいの暖かさだ。
でも、映司は、外へ出てきた咲子を自分のコートで包み込む。
さりげなくスマートに。
そんな映司に、咲子は小さな声でありがとうございますと言うのが精一杯だった。
「咲子ちゃん、明日も一緒にランチしよう。
今夜、咲子ちゃんの持ってきた資料に必ず目を通すから、明日は、咲子ちゃんに仕事の説明をしてもらいたい」
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