この試練、乗り超えてみせます

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この試練、乗り超えてみせます

映司は咲子を駅の改札まで見送った後、急いで会社へ戻った。 あり得ないほどに溜まっている仕事を片付けるため。 駅の改札まで見送る必要があるのか?と問われれば何も言い返せないが、でも、そうしたい自分がいるのだからしょうがない。 そんな事を考えながら、EOCのカフェスペースでコーヒーを淹れていると、訳あり顔の明智君が映司に近づいてきた。 そして、自分もコーヒーを淹れるために、映司の隣に立つ。 「明智君、言いたい事が山ほどあるのは分かってるけど、今は何も言わなくていいから。 というより、俺は言われたところで、他人の言う事を聞くような人間じゃないからさ」 明智君にあの状況を見られてしまった事は、今となっては悔やむしかない。 らしくないうろたえぶりと、嫉妬にまみれた醜態をさらけ出してしまったのだから。 それでも、明智君は映司の傍から離れない。 何か言いたげな顔をして、涼しげにコーヒーを飲みながら映司を見ている。 明智君は本当に超能力者なのかもしれない。 人心掌握術だけではなく、読心術も心得ているような落ち着きぶりだ。
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